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(写真= KPG_Payless /Shutterstock.com)

デジタル技術は日々急速に進化しており、この分野で優れた技術を持った若い人材の争奪戦は官民の垣根を超えて激しさを増している。高齢化で行政機関内の知識・知見が失われる懸念もあり、最新のデジタル技術を持った人材の確保はどの国でも急務となっている。

アクセンチュアの最新レポート「Emerging Technologies in Public Service(行政機関におけるデジタル技術導入)」では、行政機関が民間企業との競争に勝ち、若い優秀な人材を獲得・定着させるためには、AI(人工知能)、機械学習、生体認証など先進技術の導入が欠かせないことが明らかになった。

9カ国の行政機関のデジタル技術導入状況を調査

同レポートは日本、オーストラリア、フィンランド、フランス、ドイツ、ノルウェー、シンガポール、英国、米国の9か国で、福祉サービス、警察、司法、税務、出入国管理、行政、年金、社会保障など様々な分野の行政機関に在籍する技術責任者774名を対象に、デジタル技術の導入(試験導入を含む)の状況をアンケート調査している。

デジタル技術には「モノのインターネット化(IoT)」、「高度な分析および予測モデリング」、「インテリジェント・プロセスオートメーション」、「動画分析」、「生体認証」、「機械学習」、「自然言語処理/生成」が含まれる。

同レポートによると行政機関の技術責任者の多くはデジタル技術導入の主な目的として、市民、顧客、そして職員のエクスペリエンス(体験)の向上を挙げている。さらに、高度な分析および予測モデリングを導入している回答者の48%が職員の仕事の改善やサポートを一番の導入目的としている。

デジタル技術導入による仕事の自動化が職員の満足度を高める

世間ではAIやデジタル技術が発達するにつれて、人間の仕事がAIに奪われるという議論がしばしばなされるが、同レポートの中で回答者は「デジタル技術は既存の仕事を取って代わるのではなく、既存の仕事を充実させる」とデジタル技術の導入を好意的に受け止めている。

調査では10人中8人が「機械学習などにより単純作業の自動化が進めば、職員はより市民のニーズに合った付加価値の高い仕事に集中することができ、仕事に対する満足度が高まり、定着率も増す」と回答した。

デジタル技術導入は行政機関のイメージアップにつながり、職員の仕事の意欲を高める。同レポートでノルウェーのキーアカウントマネージャー、カレン・マリーシュネル氏は「職員はすべて紙ベースで仕事をするよりも、新しい効率的な方法で働くほうが仕事に対するモチベーションがずっと上がる。職員は外の世界で進むデジタル技術の発達を理解しており、自分たちも技術の進歩についていきたいと考えている」と述べている。

加えて先進的なデジタル技術導入は新しいスキルや新しい仕事を生み出すため、優秀な人材の定着を図ることができる。回答者の58%が「デジタル技術を導入することで、組織に関連するスキルの種類が増える」と述べている。

デジタル技術導入で新しい技術を学ぶ機会が増える

デジタル技術の導入は新しいスキルを学ぶ機会を職員に与える。6割近くの調査回答者が「先端技術を利用したプロジェクトを成功させるためには、既存の職員に多額の教育投資をする必要がある」と回答した。このことは若い優秀な人材を引き付けると同時に、既存の優秀な職員の繋ぎ止めにも有効だ。

一方、行政機関の実務に対する知識と市民ニーズ、それとデジタル技術を併せ持った人材は非常に稀であり、教育にも時間がかかる。そのため、51%の回答者が「先進技術を使ったプロジェクトを進めるにあたり、主に民間企業にいる人材を探す」と述べた。例えばデータ・サイエンティスト、ソフトウェア・エンジニア、デジタル開発者/設計者の採用の優先度が高くなっている。

多くの回答者が重要視しているのはインテリジェント・プロセスオートメーションの技術を持つ人材で、60%の回答者が挙げた。求められる人材は国によっても異なる。フィンランドとオーストラリアでは生体認証/アイデンティティ・アナリティクスの専門家の採用が優先されており、ノルウェーでは自然言語処理/生成の専門家の優先度が高い。デジタル技術が進んでいるシンガポールでは動画分析(29%)、IoT(21%)、生体認証(21%)の技術を持った人材の採用が優先されている。

アクセンチュアの官公庁向けアナリティクス・インサイトの責任者テリー・ヘムケン氏は「優れたリーダーは部下がデジタル技術の進歩についていけるよう、変化に柔軟に対応できる能力を身に着けさせる必要がある。新しいスキルを学ぶ機会を提供することは、デジタル技術に秀でた若い人材の獲得を可能にするだけでなく、既存の優秀な職員をつなぎ止める役割も果たす」と指摘している。(ZUU online 編集部)

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