※本連載は日本でまだ翻訳されていない海外のビジネス書を紹介しています、書籍タイトルは著者による翻訳です

人間には2つの基本的な欲求がある。それは「注目を浴びること」と「環境に溶け込むこと」だ。

企業は誰もが適応できる環境や個性を伸ばすような組織を作ろうとする。しかし、働く側にとっては自分自身の存在を感じながら、個性を発揮できるような職場をどのように見つけたらよいのだろうか。

書籍概要

Inclusify: The Power of Uniqueness and Belonging to Build Innovative Teams『Inclusify:イノベーションを起こす組織に必要な個性を発揮させ、相互信頼を築く力』
ステファニー・K・ジョンソン著
出版社:Harper Business
発売日:2020年6月2日
ジャンル:ビジネス書

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マネジメントの専門家であるステファニー・K・ジョンソン(Stefanie K. Johnson)によると、この答えは「Inclusify(個性を受け入れること)」だという。書籍のなかで「Inclusify」が何を意味するのか、そしてビジネスを強化するためにどのように利用できるのかを説明している。

「Inclusify」とは「多様化」や「包含性」とは異なり、多様なチームが関与して権限を与えることで、互いに評価されていると継続的に感じさせる取り組みを意味するという。多様性を持っていても、お互いに部外者のように感じているのなら、それは無駄だとステファニー・K・ジョンソンは本書で主張している。

さらに多様性を受け入れてまとまりのある組織を作ろうとするためには、組織のリーダーに共通の問題があることを指摘している。

組織の統一と社員の個性を発揮させることをリーダーが過小評価している場合、社員の満足度が低いことが多い。また、リーダーが異なる意見に耳を傾けない場合、社員は自分の個性を発揮できていないと感じていることが多いことがわかった。

反対に、リーダーが「Inclusify」を取り入れた場合、社員と強い信頼を築き、生産性を向上させて、社員全員にとってより良い環境を作り出せる。本当に重要なことは社員のさまざまな意見に耳を傾けることであり、成功に不可欠なソリューションを生み出せるはずだ。

本書では組織を変革させるリーダーシップについて紹介している。このスキルを学べば、社員の多様性を受け入れた包括的なチームを構築できるだろう。

この本をおすすめする読者層

本書では部下の長所を引き出すための道筋や、リーダーシップに対する常識が組織を弱体化させていることも説明しているため、社員を管理しなければならない方に特におすすめしたい。また、ビジネス業界だけだなく世界のあらゆる業界の方も手に取るべきだ。

さらに間違ったリーダーシップとしての行動や、社員の独自性や組織への帰属意識が不可欠な理由についても学べる。これらの理由は著書であるステファニー・K・ジョンソンの研究によって導き出されたものだ。

本書で紹介されているリーダーシップを実践すれば、社員が組織の一員であることを実感しながら個性を発揮できる方法を見つけられるだろう。さらに創造性に満ちたアイデアを生み出せる多様な視点を持った組織を作り出せるに違いない。

著者について

ステファニー・K・ジョンソンは2020年の「経営思想家ベスト50」やマーシャル・ゴールドスミスのコーチング100に選出。豊富なコンサルティング経験があるため、世界のトップ企業に協力し、リーダーシップを開発するトレーニングを実践している。